2011-01-24
20歳のときでしたか。
道場には時たま、それはエネルギッシュな先輩が稽古に来ました。
奥野雅己という先輩でした。
私も稽古に打ち込む気力は誰にも負けない自負はありましたが、
奥野さんは稽古中、目を血走らせ鼻から血を滲み出しながら、
鬼のようにやっていました。
その奥野さんが、ある寺院に行こうと誘ってくれました。
そこは中野区にある高歩院というところでした。
この高歩院、
「山岡鉄舟」を著した大森曹玄氏が住職として主宰する寺院でした。
鉄舟禅会といって、早朝に誰でも坐禅ができるところです。
私はさっそく、早朝、奥野さんとともに高歩院に向かいました。
奥野さんは寺院にある竹ぼうきをとって庭掃除をはじめました。
誰に指図されるわけでもなく、皆ごく自然に掃除を始めていました。
私も奥野さんに倣って庭の枯葉を掃きます。
身辺をきれいにしたあと、坐禅となります。
ただひたすら坐禅をします。
坐禅が終わると書道をさせていただきました。
書道といっても、縦にまっすぐ一本線を引くだけでした。
しかしそれがまた、むずかしいのです。
建武館 篠田剛
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※『おれの半生』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。